メンタルヘルスケアのポイント 

 メンタルヘルス疾患は発病しても自分では気づかない場合も多く、また治ったと思っても再発する場合もあります。予防に勝るものはないのです。
 病気の予防には第一次予防、第二次予防、第三次予防という考えがあります。
 第一次予防は 「病気を未然に防ぐこと」
 第二次予防は 「病気の初期治療」
 第三次予防は 「病気の再発防止」 です。
 メンタルヘルスの場合も、病気になってしまった人をどう治療するかという考え方から、病気といえるほどになる前に予防していこうという考え方にシフトしています。
 厚生労働省は、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を策定するなどして、労働者本人によるセルフケアなど、早期発見のための方策を示しています。

メンタルヘルスケアの体制づくり

 

 メンタルヘルスケアの体制づくりは、行政の指針を参考にすると体系的にモレなく取り組むことができます。そのうえで自社の規模、業種、その他の実情によって検討していきます。

  「労働者の心の健康の保持増進のための指針」 

  労働安全衛生法(第70条の2 第1項)に基づく指針
  同指針は、事業場において事業者が講ずるように努めるべき労働者の心の健康の保持増進のための措置が適切かつ有効に実施されるよう、メンタルヘルスケアの原則的な実施方法について定めたもので、事業者は、同指針に基づき、各事業場の実態に即した形で、メンタルヘルスケアの実施に積極的に取り組むことが望ましいとしています。

 ◆ 「心の健康づくり計画」の策定
  同指針では、事業者は、衛生委員会等において十分調査審議を行い、メンタルヘルスケアに関する事業場の基本的な計画(「心の健康づくり計画」)を策定し、その中で、メンタルヘルスケアを積極的に推進することを表明するとともに、その実施体制を確立すること。また、心の健康づくり計画の実施においては、実施状況を適切に評価し、評価結果に基づき必要な改善を行うことにより、メンタルヘルスケアの一層の充実・向上に努めることが望ましいとしています。

 同指針における心の健康づくり計画で定めるべき事項
 ①事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明に関すること
 ②事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること
 ③事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関すること
 ④メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に関すること
 ⑤労働者の健康情報の保護に関すること
 ⑥心の健康づくり計画の実施状況の評価及び計画の見直しに関すること
 ⑦その他労働者の心の健康づくりに必要な措置に関すること

メンタルヘルスの具体的な進め方

 同指針では、メンタルヘルスケアは、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の4つのケアを継続的かつ計画的に実施することを基本とし、具体的な推進に当たっては、事業場内の関係者が相互に連携し、以下の取組を積極的に推進することが効果的であるとしています。

 同指針におけるメンタルヘルスケアの具体的な進め方
 ①メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供
   ア 労働者への教育研修・情報提供
   イ 管理監督者への教育研修・情報提供
   ウ 事業場内産業保健スタッフ等への教育研修・情報提供
 ②職場環境等の把握と改善
   ア 職場環境等の評価と問題点の把握
   イ 職場環境等の改善
 ③メンタルヘルス不調への気づきと対応
   ア 労働者による自発的な相談とセルフチェック
   イ 管理監督者、事業場内産業保健スタッフ等による相談対応
   ウ 労働者個人のメンタルヘルス不調を把握する際の留意点
   エ 労働者の家族による気づきや支援の促進
 ④職場復帰における支援

 「いつもと違う」 自分に気づくこと

 ストレスによって生じる心身の異変は、ある程度の傾向をつかむことはできても、その出方は人それぞれといえます。
 ストレスに気づく大事な視点は「いつもと違う自分に気づく」ことです。
 「いつもと違う」ということは、外部の基準に照らし合わせた「違い」を見つけることではなく、他人と比較をした「違い」を捉えることでもなく、自分自身の内的な変化を捉える ことです。
  「いつもと違う」が2週間にわたって継続する場合には専門家に相談するなど実際の対処が必要となります。

 「いつもと違う」 自分に気づく変化

  ① 悲しい、憂鬱な気分、沈んだ気分
  ② 何事にも興味がわかず、楽しくない
  ③ 疲れやすく、元気がない(だるい)
  ④ 気力、意欲、集中力の低下を自覚する(億劫、何もする気がしない)
  ⑤ 寝つきが悪くて、朝早く目が覚める
  ⑥ 食欲がなくなる
  ⑦ 人に会いたくなくなる
  ⑧ 夕方より朝方の方が気分、体調が悪い
  ⑨ 心配事が頭から離れず、考えが堂々めぐりする
  ⑩ 失敗や悲しみ、失望から立ち直れない
  ⑪ 自分を責め、自分は価値がないと感じる   など

  このような状況が続くようなら、一人で抱え込まずにすぐに上司または専門家に相談してください。早期に気づき対処することが何より大切です。

   「いつもと違う」 部下に気づくこと 

 ラインによるケアで大切なのは、管理監督者が「いつもと違う」部下に早く気づくことです。
 「いつもと違う」感じを持つのは、部下がそれまでに示してきた行動様式からズレた行動をするからです。それまで遅刻をしたことがなかった部下が遅刻を繰り返したり、無断欠勤をしたりするようになった状態です。

  「いつもと違う」 部下に気づく変化

  ① 遅刻、早退、欠勤が増える
  ② 休みの連絡がない(無断欠勤がある)
  ③ 残業、休日出勤が不釣り合いに増える
  ④ 仕事の能率が悪くなる
  ⑤ 思考力、判断力が低下する
  ⑥ 業務の結果がなかなか出てこない
  ⑦ 報告や相談、職場での会話が無くなる
  ⑧ 表情に活気がなく、動作にも元気がない
  ⑨ 不自然な言動が目立つ
  ⑩ ミスや事故が目立つ
  ⑪ 衣服が乱れたり、不潔であったりする   など

  このような「いつもと違う」部下に対しては、管理監督者は何らかの対応をする必要があります。部下の話しを聴き、産業医のところへ行かせる、あるいは管理監督者自身が産業医のところに相談に行く仕組みを予め事業場の中に作っておくことが望まれます。
 何より、部下がメンタルヘルス不調に陥る前に、管理監督者は日常的に部下からの自主的な相談に対応するように努めること、また部下が相談しやすい環境を整えること、そして部下の変化にいち早く気づいて声掛けし手をさしのべることが大切です。

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